Accessベースの属人化した徴収金管理システムから脱却し、請求・入金管理業務のDXを推進
チカラン日本人学校様
業種: 教育
部門: 事務局
カテゴリ: 業務管理
お客様の概要
インドネシア共和国の首都ジャカルタから東へ約70キロ、西ジャワ州ブカシ県にチカラン日本人学校(CJS)はあります。2019年4月、⽇本人学校維持会(財団)の学校として開校、広大な敷地に充実した設備を備え、⽇本のカリキュラムに基づいた質の高い教育を提供しており、⽇本の文部科学省から在外校として認可されています。 現在、児童⽣徒数は 250名、⽇本人学校維持会会員は200にも上ります。
導入前の課題:スタンドアロンの旧システムが業務を停滞させていた

チカラン日本人学校
事務局長
丹羽 聡様
2019年の開校時、既設のジャカルタ日本人学校(JJS)に倣い、Microsoft Accessで構築された会費・授業料管理システム(通称:Tuitionシステム)を導入しました。しかし、このシステムは現代的な業務環境において多くの課題を抱えていたと、事務局長の丹羽様は振り返ります。
「最大の課題は、AccessがスタンドアロンのPCシステムであり、担当者1名しか利用できず業務が属人化していた点です。アプリケーションの機能自体はよく考えられていましたが、システムのアーキテクチャが課題でした。コロナ禍を経て、複数人での分担作業や、場所を選ばないリモートアクセスの必要性が高まっていました。」 (丹羽 様)
特定のPCでしか操作できないため、請求や入金管理といった重要な業務が一人の担当者に集中。業務はブラックボックス化し、その担当者が出勤できない日には作業が完全に滞ってしまう状況でした。また、約200名に及ぶ会員への請求書発行は、一件ずつの手作業による印刷・郵送という膨大な手間がかかっており、さらに徴収状況は別途Excelで管理するなど、データの二重管理という非効率も発生していました。
導入の決め手:クラウド、操作性、コストの三拍子が揃ったCELF
属人化の解消と業務効率化という課題を解決するため、同校はシステムの刷新を決断。複数の選択肢の中からSCSKのノーコード開発プラットフォーム「CELF」が選ばれました。その理由を丹羽様は次のように語ります。
「CELFを選んだ理由は主に3点。1つ目はサーバー管理が不要なクラウドサービス(SaaS)であること。2つ目は誰にとっても分かりやすいExcelライクなUI。そして3つ目は初期開発費用が安価に抑えられる点です。」(丹羽 様)
場所を選ばずに複数人で利用できるクラウドサービスであることは、属人化解消の絶対条件でした。それに加え、ITに不慣れな職員でも抵抗なく使えるExcelのような操作性と、コストを抑えつつ迅速な開発が可能な点が、CELF導入の決め手となりました。
導入プロセスと乗り越えた課題:データ移行と多言語対応
既存のAccessシステムの機能要件が明確だったため、CELFへのリプレイスは比較的スムーズに進行しました。しかし、その過程では乗り越えるべきいくつかのハードルがありました。
「最も苦労し、注意を払ったのは、2019年の開校時から蓄積された過去のデータを、新しいCELFのシステムへ正確に移行する作業でした。また、旧システムから残っていた不整合なデータもこのタイミングでクレンジングする必要がありました。」(丹羽 様)

チカラン日本人学校
事務局
花田 美織様
さらに、今回のシステム刷新は単なる機能の置き換えに留まらず、多言語対応も重要な要件でした。 事務・総務担当として、現場の業務に深く関わる花田様も、この変更がもたらした効果を語ります。
「従来は日本人スタッフのみが利用していましたが、CELF導入を機にローカルスタッフも利用できるよう、システムの英語化(アルファベット表記)を進めました。これにより、ローカルスタッフが直接SCSKIDNに相談できる体制が整い、非常に助かっています。」 (花田 様)
これらのデータ移行、データクレンジング、そして多言語対応といった課題に対し、CJS様とSCSKIDNが密に連携し、一つひとつ丁寧に対応することで、安定した新システムへのスムーズな移行を実現しました。
導入効果:お客様が語る、CELFがもたらした「劇的な変化」
CELFへのリプレイスは、長年の課題であった請求・入金管理業務に劇的な改善をもたらしました。現場の皆様からは、喜びの声が上がっています。
「最も大きな効果は、請求書のメール一斉配信機能です。従来、手作業で郵送していた作業が、CELF導入後はワンクリックで完了するようになり、作業時間が大幅に短縮されました。」 (花田 様)
請求書発行にかかっていた時間が圧倒的に短縮されただけでなく、チームの働き方そのものも大きく変わりました。
「これまで一人で担当していた入金作業などを他のスタッフも分担できるようになった結果、学校全体の業務効率が向上し、私自身の作業負荷も大きく軽減されました。」 (花田 様)
チカラン日本人学校
事務局
ドディ様
また、経理担当のインドネシア人スタッフであるDody様は、日々のデータ処理における効率化を実感しています。
「CELFは大量のデータを扱う際に最も役立ちます。160名超の保護者の財務データを扱う上で、以前は手作業で時間がかかっていましたが、CELF導入後はデータの処理と集計にかかる時間を大幅に節約できています。」 (ドディ様)
CELFの導入は、単なるシステム刷新に留まらず、請求業務のDXを実現し、チーム全体の生産性を向上させ、職員一人ひとりの負担を軽減するという、大きな価値をもたらしました。
今後の展望:会計連携、そしてデータ活用の未来へ
CJSでは、CELFをプラットフォームとして、さらなる業務改革を計画しています。
「現在計画中の二次開発では、CELFと既存会計システムとのデータ連携を予定しています。現状、会計担当者が手入力している請求データを自動連携し、売掛金登録を効率化・高精度化したいと考えています。」 (丹羽 様)
将来的には、銀行から入金データを自動で取り込み、入金消込までを自動化する構想も描いています。これが実現すれば、請求から会計処理までの一連のサイクルがほぼ完全に自動化されます。CELFに蓄積されたデータを統計分析し、学校運営の意思決定に活かしていくことも、今後の重要なテーマです。
企業情報
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チカラン日本人学校は、チカラン・ブカシ地域に住む日本人駐在員や国際家庭の子供たちのために、日本のカリキュラムに基づいた教育を提供しています。英語サポートや文化交流を通じて、生徒たちは高い学力、バイリンガル能力、適応力を身につけます。近代的なコタ・デルタマスキャンパスは、安全で設備の整った施設を提供し、総合的な成長を育んでいます。